5月27日/愛知県立芸術大学 芸術資料館
愛知芸大芸術講座サクソフォーン現代表現
3月24日/名古屋・伏見・電気文化会館・ザコンサートホール
大学院生によるコンサート/平成26年度最優秀修了生による共演にて発表。
8つのスピーカーによる立体音響、映像、ガジェットを複合的に用いることで、アルト・ サクソフォン奏者の身体性を空間全体に拡張し、音楽を通じて、空間そのものが生命体で あると思えるような表現を目指した。
曲はScene0からScene4の5つに大きく分けられる。
・Scene0(導入)
演奏者は線状に並べられたスピーカーの中心よりやや後ろに位置する。 演奏者が2つの石をマイクに向かって、擦り合わせる。石の音はサンプリングされ、ボ リュームのコントロールによって、スピーカーの始点へ移動する。
・Scene1 Scene0でサンプリングされた音が始点に到達したタイミングで、予め録音された8つ の石の音が、それぞれ違う速度でスピーカーに沿いながら線状に移動する。 サックスが音価の長いフレーズを演奏する。それに合わせ、ガジェットの送風機が回転 し、風の表現をする。 サクソフォンの音の残響時間をリバーブによって長くすることで、吹いている音と、1 つ前の音が重なり合うことで、音響的なゆらぎの効果が生まれるようにした。
・Scene2 予め録音された石の音のパルスが始まる。音は1音1音ランダムに8つのスピーカーか ら1つを選択し、発音される。サクソフォンは定期的な石のパルスに対して、たどたどし さを感じるようなリズムと音を選択した。
・Scene3
テンポが100から120になり、石の音の動きも激しくなっていく。 サクソフォンはリズム感をより効果的にすることを狙い、前半はピッチの変化を少なく した。後半は対照的に音を変化させた。 サクソフォンの音がリアルタイムにサンプリングされ、再生される。時間を部分的に切 り出すディレイの効果を狙っている。
・Scene4 虫が湧くような生命力を表現することを狙い、サクソフォンの音をリアルタイムに録音 したものを200個コピー・アンド・ペーストし、ピッチを変えて差異をつくりながら、 音の数を徐々に増やしていく。